学生時代、バックパッカーとしてアジアなどを旅しており、「将来は海外へ」という強い気持ちを持っていました。政府主催の青年海外協力隊に応募したこともあります。次第に、まずは自分自身に確かな経験と技術が必要であると思うようになりました。
「鮨を極めれば、魚の良し悪しが分かるようになり、どんな食の世界でも通用する」──。そんな想いで飛び込んだ修行の世界。銀座の名店で、師匠の「今日はこれでいこう」という采配を間近に見ながら、鮨の流れと仕込みのすべてを学びました。
独立を考えた際、修行先の女将さんから「銀座で働いた人は、たとえ違う場所で始めても、最後には必ず銀座に帰ってくる。だったら最初からこの地で始めなさい」と言っていただいたことが、私の背中を押してくれました。
2018年4月1日の開店日、修行時代のお客様から「独立はゴールではなく、ここがスタート地点。今日からこの看板を磨き続けるんだ」と言われた言葉を、今も鮮明に覚えています。